2050カーボンニュートラル《水素》が急浮上 水素の輸送と貯蔵

 

コロナ禍のさなか、菅前総理大臣が表明した2050年カーボンニュートラルは関係者に大きな衝撃を与えました。


カーボンニュートラルは太陽光や風力などの再生可能エネルギーの活用が大きく貢献されることは確かですが長期的には《水素》へのエネルギー転換が有望視されています。

 

「なぜ水素がカーボンニュートラルに貢献するのか」

内燃機関でガソリンや軽油を燃やすことによってエネルギーを取り出していますが、水素を活用したFVCはCO2排出がゼロでエネルギー変換率がガソリンと比較すると2倍以上高いことから大きく貢献すると考えられています。

 

「水素は次世代エネルギーを賄うだけの量があるのか」

1 水の電気分解  水酸化カリウム等の電解質を溶かした水に電気を流すことで水素を発生させる事が出来ます。
2 天然ガス等の化石燃料  メタンや原油中のナフサを水素と炭素を化学反応させ水素を取り出す事が出来ます。
3 森林資源や廃材等のバイオマス   バイオマス原料を水蒸気と反応させることで水素を取り出す事が出来ます。
4 工業プロセスの副産物  製鉄所や食塩電解等の工場で副産物として生じる水素を分離して取り出す事が出来ます。

 

「水素の貯蔵と輸送」
水素が石油に代わるエネルギーになるためには、水素が安く大量生産され製造から消費地のまでの貯蔵・輸送で高い経済性を有することが要求されます。
液化水素で貯蔵・輸送効率を大幅に向上させることが重要になり、最先端の技術では圧縮水素トレーラー12台分を液化水素ローリー1台で輸送可能な輸送が可能になります。

 

「液化水素の輸送」
液化水素を輸送するための容器は、LGC,コンテナ、ローリーの3種類があります。
LGCとコンテナは輸送用としてだけでなく、そのまま使用場所に置いて消費先容器としても使用可能です。
液化水素ローリーはバルク供給が一般的で、この場合はローリーから低温貯槽などに移し替えます。

 

「圧縮水素ガスの輸送」
①シリンダー 小型で簡単に輸送できるいわゆるボンベのことで現状では内容積46,7Lのものが主流です。
②カードル 中型の輸送容器としてシリンダーを終結したもので467Lが一般的で簡単な設備です。
③セルフローダ・トレーラー  大型の輸送容器で道路交通法や道路運送車両法の制限があります。
④オンサイト供給  現場で水素を製造して供給する方式で、発生規模などに応じて使い分けされます。

 

「水素社会の到来」
地下資源に乏しい日本は年間約20億トンの石油をタンカーで輸入、カーボンニュートラルはこの石油を燃やして排出するCO2を 2050年にはゼロにする公約で、現実に東京都は2030年に、政府は2035年を目標にCO2を排出する車両の通行を認めない方針を明らかにしています。

この水素エネルギー転換が石油の半分だとしても石油10億トンに相当する水素が必要になる計算で前述したように水素はいたるところに存在するので国内生産も可能ですが、急増する需要には輸入に頼るしかなく、そのための水素専用タンカーも必要になります。

 

「時代変遷の潮目はビジネスチャンス」
水素社会の到来もこの輸送と貯蔵に大きな改革が求められています。
時代を先取りした情報を自社の事業に繋げ、近未来に向かって事業再構築を図りましょう。

 

 

群馬県よろず支援拠点
コーディネーター 山内 弘一