皆さん、こんにちは!今回は、チーフコーディネーターの小畑が担当します。
1月1日の日本経済新聞の1面トップは「脱炭素の主役、世界競う、日米欧中動く8500兆円」でした。
正月らしく景気のいい話ですが、ちょっと違和感がありました。
本題に戻って、カーボンゼロは大気中のCO2があるため不正確な言葉で、カーボンニュートラル(炭素中立)を目指すこと、つまり排出する炭素と吸収される炭素を同じにして待機中のCO2濃度を増やさないことが正しい言い方です。
一方CO2排出ゼロにしても、大気中にこれまで人間が排出したCO2が100年くらい残留するので、気温は上がり続けます。
パリ協定での約束をすべての参加国が完全実施したら、自然体に比べて1℃位は下がりますが、目標値の(産業革命前から)2℃上昇は実現出来ません。
また一番大きな問題は、8500兆円を投資するという表現ですが、投資プロジェクトの効果を決めるのは、コストではなく収益です。
地球の平均気温が下がっても、企業の利益は増えません。国連が言っているカーボンニュートラルで1.5℃に抑えられるということは、国のインフラ整備で対応可能です。
つまり民間企業が投資する意味はないのです。
ノーベル賞受賞学者がカーボンニュートラルの投資収益率を計算したところ、100年後に1.5℃上昇で抑えるコストは全世界で約50兆ドル、その収益は3兆ドルと推定しています。
つまり収益率は、マイナス94%ということになってしまいます。
翻ってなぜそれを今からやるかに関しては、政府が「脱酸素」と称して財政支出を拡大する理由にはなります。
不景気で失業が出ている時は、無駄な投資でも雇用を増やす役には立つのです。
ただ今は、コロナで一般会計予算が昨年度の2倍に膨らんでいるので、タイミングが悪いですね。
企業の皆さんは気をつけた方がいいと思います。
群馬県よろず支援拠点
チーフコーディネーター 小畑満芳