生産性向上

 皆様、こんにちは、群馬県よろず支援拠点です。
今回はコーディネータの笹尾が担当します。

 

新型コロナの罹患を避けるため、「3密(C)の回避」が求められることから、人が集う各種会議や接待を伴う飲食・会合は、ほぼ無くなりました。
多くの方は「今まで、皆が時間を使って一か所に集合していたのは何だったのか? わざわざ時間を使って集まらなくてもよいのではあれば、そのほうが時間の節約になるし、自分のために時間を使うほうが意味がある」と思い始めているのではないでしょうか。

コロナ発災からわずかな時間の経過ですが、本当に急速なデジタル技術の進展の恩恵により、インターネットを通じたテレワークやWEB会議が日常の生活の中へ当たり前のように浸透してきています。

 


先日、WEB会議での発言をそのまま日本語の議事録に書き起こすソフトを使ってみましたが、平成時代の初期では全く想像できなかった技術が現実のものになってきています。

このような先進技術を使わない理由はありませんし、嫌であろうとなかろうと、デジタル化の進展にはついていかないといけない時代になりました。


このコロナ禍の中、令和2年9月16日夜、菅義偉内閣が発足しましたが、発足に先立つ9月5日、菅義偉官房長官(当時)は日本経済新聞のインタビューにて中⼩企業の統合・再編を促進すると表明、中小企業の成長・効率化の阻害要因とも指摘される中⼩企業基本法の見直しに言及したと報じられました。


2019年中小企業白書によると、日本での中小企業数は現在、小規模事業者を含め約358万社あり、企業数全体の99.7%を占めています。
一方で、従業員1⼈あたりの付加価値額を示す「労働生産性」の中央値は大企業の585万円に比べて、中規模企業は326万円、小規模企業は174万円にとどまり、企業規模が小さくなればなるほど生産性が下がる傾向があるとされ、中小企業基本法で
定める基準が中小企業・小規模企業の集団を作り出してきたと報じられました。

 

令和2年10月16日、政府は菅政権になって新設した成長戦略会議の初会合を開催、企業の生産性向上をめざし、中⼩企業再編や最低賃金の引き上げといった具体策の議論を始めるとし、首相のブレーンとされる小西美術工芸社社長のデービッド・アトキンソン氏を含めて8⼈の民間有識者が出席したと新聞には報じられました。

デービッド・アトキンソン氏は元ゴールドマンサックス社等のアナリストで、菅義偉官房長官(当時)のブレーンとされています。

デービッド・アトキンソン氏の主張は「日本経済と社会保障に関して、人口減少社会と少子高齢化社会における将来の社会保障の持続困難性と指摘したうえで、企業の生産性向上が絶対に必要であると繰り返し主張している。
特に技術革新や海外展開に対応できる人材が乏しく、最新設備の導入にも限界がある、日本に過剰な数がある中小企業が生産性低下の大きな要因だとし、そのために最低賃金を引き上げて経営力と競争力がない中小企業を淘汰・統合するなどの政策を行うべきである」(注)とされています。

 

(注)https://ja.wikipedia.org/wiki/デービッド・アトキンソン 最終アクセス:令和2年10月19日


デービッド・アトキンソン氏の直近の著書「日本企業の勝算」(東洋経済新報社、2020年4月9日)
から各章のタイトルを拾ってみました。

第1章 実力はあるのに「結果」が出せない日本企業
第2章 「沈みゆく先進国」の企業には共通の課題がある
第3章 日本企業の生産性が低いのは、規模が小さすぎるからだ
第4章 「中小企業を守る」政策が日本企業の首を絞めている
第5章 「低すぎる最低賃金」が企業の競争力を歪めている
第6章 日本の「経営者の質」が低いのは制度の弊害だ
第7章 人口減少で「企業の優遇政策」は激変する
第8章 人口減少時代の日本企業の勝算

 

同会議において今後のあるべきマクロ政策は検討されていくことと思われますが、マイクロレベルの企業・事業においても、コロナ禍が加速させたと言われる外部環境の変化をしっかりと受け止めて、格安になったデジタル技術を活用しつつ、今まで疑問を持たなかったルーティン業務の廃止・排除、事務の効率化を進める中で、自らの生産性向上を通じて、社会に提供する付加価値を高めていくことを真剣に考えていかなくてはなりません。


 群馬県よろず支援拠点 コーディネータ 笹尾博樹