皆さまこんにちは。
群馬県よろず支援拠点です。
前回のブログでは、顧客ニーズの見つけ方を紹介しました。
お客様が求めているものは「商品」そのものではなく、それを消費することによって得られるベネフィット、つまり「価値」を求めているということを説明しました。
ではどのようにして顧客が求める価値を提供していけば良いのでしょうか。
今回、そのヒントとして紹介したい考え方が「3つの価値基準」です。
これは「NO.1企業の法則(M.トレーシー&F.ウィアセーマ著) 1995年日本経済新聞社」で紹介された概念です。
同書によれば、顧客が求める価値基準は次の3つに分類されると言います。
①「製品の優位性」を価値基準とする顧客
・製品の性能や特殊性を価値の中枢的要素であるとみなす顧客
②「経営実務面での卓越性」を価値基準とする顧客
・低価格と面倒のいらないサービスに価値を認める顧客
③「緊密な顧客関係」を価値基準とする顧客
・人間らしいサービスや助言に価値を認める顧客
したがって、企業は自社の顧客が最も気にかけている価値基準に特化し、その基準でNO.1を目指すべきという主張です。
小規模事業者の場合は広い市場での競争は避けるべきなので、自社の市場領域を狭く限定して、その中でNO.1を目指すことになるわけです。
①製品の優位性を追求する事業者
・ある特定の製品において、ライバルがマネできない品質や性能を持つ製品を提供することで優位性を保つ事業者のことです。
・昔ながらの伝統的な製法で、鍬(すき)などの農具を製造する鍛冶屋職人や畳職人などがこの類型に入ります。
②経営実務面での卓越性を追求する事業者
・ある特定のビジネスにおいて、ライバルがマネできない高いオペレーション水準により、低コスト・便利さ・早さを提供することで優位性を保つ事業者のことです。
・看板メニューのもつ煮に特化することで、顧客に安く・早く・おいしい食事を提供する定食屋などがこの類型に入ります。
③緊密な顧客関係を徹底追及する事業者
・ある特定の顧客層に対して、顧客との関係性や自由度の高い対応により、ライバルを上回るレベルのサービスを提供する事業者のことです。
・高齢者世帯をターゲットに、使いやすい標準的な仕様の家電を紹介し、その使い方や修理に至るまで顧客に対する継続的なサービスを提供する町の電気屋などがこの類型に入ります。
一つの価値基準を選択することは、企業文化や会社の存在意義そのものを決めることにもなるため、極めて重要な意思決定となります。
しかし、どっちつかずの戦略では市場競争を勝ち抜くことは困難になるでしょう。
自ら選択した一種類の価値基準を強みにすることで持続的な成長が期待できると考えます。
群馬県よろず支援拠点 コーディネーター 江原伸広